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安全保障と土地法制に関する10年余の取組

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 現段階では、未だ「与党政策責任者会議(自民党と公明党の正副政調会長による会議)」での合意が必須条件となる「閣議決定」には至っていませんが、『重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案』が、閣法(政府提出法案)として、今国会に提出される可能性が高くなってきました。

 

 議員立法で提出してしまいますと、委員会での審議順が閣法の後になり、会期内成立は難しい場合が多いのですが、閣法であれば成立の可能性が高く、とても嬉しく思っています。

 自民党内では、約10年間、議論を重ねてきた課題だったからです。

 

 この法律案の目的は、重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等(建物も含む)が、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、「基本方針の策定」、「注視区域及び特別注視区域の指定」、「注視区域内にある土地等の利用状況の調査」、「当該土地等の利用の規制」、「特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出」等の措置について定め、もって国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することです。

 

 自民党が野党だった2011年(平成23年)2月10日に、党内で私が主宰していた「日本の水源林を守る議員勉強会」を「安全保障と土地法制を研究する議員の会」と改称し、第1回の勉強会を開催したのが最初でした。

 

 前年の2010年(平成22年)4月に発足させた「日本の水源林を守る議員勉強会」では、当時、外国資本や外国人が活発に水源地を買収していたことを受け、その買収目的は「立木」と「地下水」なのだろうと考え、一定の歯止めをかけるために、約7ヵ月間を費やして2本の法律案を書き上げました。

 2010年11月30日に、議員立法で『森林法の一部を改正する法律案』と『地下水の利用の規制に関する緊急措置法案』を、衆議院に提出しました。

 

 自民党からの法案提出を受けて、菅内閣(民主党政権)も、2011年3月1日に、『森林法の一部を改正する法律案』という全く同じ名称の法律案を提出してきました。

 同名称の2本の法律案を抱えた衆議院農林水産委員会では、与野党で修正協議を行うこととなり、私に言わせれば「骨抜き」の残念な法律になってしまいましたが、2011年3月31日の衆議院本会議では全会一致で可決し、その後、参議院の審議を経て成立しました。

 

 前年11月末まで『森林法の一部を改正する法律案』の起草作業に粘り強く付き合って下さった「日本の水源林を守る議員勉強会」のメンバーに再び参集をお願いして、2011年2月に改称して立ち上げたのが「安全保障と土地法制を研究する議員の会」でした。

 

 当時の私が最も懸念していたのは、2010年2月26日に公布され、7月1日に施行された中国の『国防動員法』でした。

 

 『国防動員法』は、第49条で「満18歳から満60歳までの男性公民及び満18歳から満55歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」とし、第26条では「必要な予備役要員を確保する」としていました。

 

 外国在住の中国人も免除対象とはしておらず、国防勤務の対象者です。

 また、企業経営者には予備役出身者が多いと聞いており、仮に日中間に軍事的対立が起きた場合には、中国資本系企業の日本事務所も中国の国防拠点となり得ますし、莫大な数の在日中国人が国防勤務に就くことになる可能性があります。

 

 同法の第4条では「全国民の参加、長期的準備、重点的建設、全局を考慮した統一的計画」等の原則を規定し、第5条では「公民及び組織は、平時には、法により国防動員準備業務を完遂しなければならない」としています。

 

 2011年には、東京都港区南麻布で、KKR(国家公務員共済組合連合会)が所有していた5677㎡もの土地が一般競争入札にかけられ、中国大使館が60億円で落札しました。

 2010年8月13日には、中国総領事館が、小学校跡地15000㎡の取得を新潟市に申し入れました。当初は、新潟市長も地元商店街も、経済活性化を期待して積極的に中国総領事館誘致を進めてきた経緯もあって小学校跡地の売却に前向きだったそうですが、中国漁船事件を境に新潟市でも反対運動が活発化し、2011年3月22日には新潟市議会が反対請願を採択し、新潟市は中国総領事館に売却断念を伝えました。

 

 何れのケースも、顕在化したのは中国で『国防動員法』が公布された2010年2月より後のことでした。私は、中国政府が日本国内での大規模土地取得を強力に推進し始めたのは「平時からの国防動員準備業務」の一環なのではないかという疑念を抱きました。

 

 第1回の「安全保障と土地法制を研究する議員の会」に参加して下さった同僚議員に対して、新たな議員立法案として『安全保障土地法(仮称)』の骨子案(高市早苗私案)を提示してみました。

 

 私案では、「条約への抵触」や「日本人を使った取得」など抜け道の問題をクリアするために、「国籍を問わない規制」にしました。そして、「国防上、特に重要な土地・建物」については、国有化を進めることも視野に、その「取得・利用」に際しては、重要度に応じて「許可制・届出制」を導入することとしていました。

 

 参加議員による真剣な議論を経て、この私案をベースに条文起草作業を進めることが了承されました。

 国会日程を考慮すると、法律案は参議院に提出した方が良いという判断をし、この勉強会の主宰者を参議院議員に引き継ぐことにしました。

 山谷えり子参議院議員に会長就任をお願いし、事務局長には佐藤正久参議院議員が就任して下さいました。

 

 翌2012年(平成24年)12月に、自民党は再び政権に復帰させていただき、私は政調会長に就任しました。

 政調会長が特に関心を持つ政策課題については、政調会に「特命委員会」を設置することが許されています。

 私は、早速、「安全保障と土地法制に関する特命委員会」を設置し、初代委員長として、佐藤正久参議院議員に就任していただきました。

 

 自民党の正式な機関となった「安全保障と土地法制に関する特命委員会」では、熱心な議論が続けられてきました。

 憲法が保障する「財産権」を尊重することは勿論、外国人等に限定して土地取得に新たな制限をかける立法をすることは『二国間投資協定』やWTOの『GATS(サービスの貿易に関する一般協定)』に違反するということにも留意しながら、丁寧に議論を重ね、長い年月が経過しました。

 

 現在は、新藤義孝・元総務大臣が、「安全保障と土地法制に関する特命委員会」の委員長を務めておられます。初代委員長の佐藤正久参議院議員も、委員長代理として頑張って下さっています。

 昨秋に総務大臣を退任した私は、顧問として議論に参加させていただいています。10年前に立ち上げた「安全保障と土地法制を研究する議員の会」の会長を引き受けて下さった山谷えり子参議院議員も、顧問をお務めです。

 

 新藤義孝委員長は見事なリーダーシップを発揮され、内閣官房、内閣府、総務省、法務省、外務省、防衛省、海上保安庁、国税庁、経済産業省、国土交通省、農林水産省、厚生労働省まで巻き込んで下さいました。

 

 2011年2月10日の「安全保障と土地法制を研究する議員の会」のスタートから10年余りをかけて、議員立法ではなく閣法で『重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案』の原案を取り纏めるところまで漕ぎ着けました。感無量です。

 

 今は与党審査の最中ですので、同法律案には条文の加筆修正の可能性が残っており、詳細は閣議決定後にご覧いただきたいのですが、防衛関連施設・海上保安庁の一部施設・重要インフラ(政令指定:原子力関係施設や軍民両用空港などを想定)の周辺や国境離島などを守ることは、国民生活基盤の維持や安全保障のために不可欠であり、絶対に必要な法整備だと考えています。 

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