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新型コロナウイルス等の殺菌用光照射機材の実用化に向けて

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 去る4月30日に成立した令和2年度第1次補正予算では、総務省関連予算として最も注目を集めていたのが「特別定額給付金」でしたので、同予算に盛り込まれていた「高強度深紫外LEDの活用による新型コロナウイルス等の殺菌用光照射機材の実用化事業」(予算額5億円)については、予算委員会で質疑を受けることもなく、多くの方々に知っていただきたい事業だっただけに、少し残念に思っていました。

 

 ところが、先週5月14日の参議院総務委員会で、日本維新の会の柳ケ瀬裕文議員が、この事業を高く評価して下さった上で質疑をしていただき、とても嬉しく存じました。

 

 「高強度深紫外LEDの活用による新型コロナウイルス等の殺菌用光照射機材の実用化事業」は、総務省所管の国立研究開発法人NICT(情報通信研究機構)が将来の情報通信技術の為に行った基礎研究の成果を、新型コロナウイルスの殺菌(厳密には「不活性化」)や感染拡大防止策に応用するものです。

 

 従来のウイルス殺菌には、アルコール消毒や塩素消毒、水銀ランプなどが使われてきました。

 

 深紫外線(UV-C)は紫外線の一種で、波長が長く、エネルギーが高い光で、ウイルスへの殺菌作用が知られています。

 

 現在、市販されている深紫外線LEDは、出力が小さく(50mW)、空気清浄機などの限られた用途でのみ活用されています。

 NICTのLEDは、10倍の500mWで、世界最高出力を誇ります。

 

 総務省では、高強度深紫外LEDを用いることで、クリーンで持ち運び可能な(小型サイズの)殺菌用光照射機材を実用化する事業を、NICTに実施していただくこととしました。

 

 殺菌のエビデンスについては、共同研究によって、既に実験結果が出ています。

 

 新型コロナウイルスの検体に対して、試作の深紫外線LEDを近距離で照射して、ごく短時間で検出限界まで殺菌(不活性化)されたことが確認されています。

 具体的には、3cmの距離から1秒間照射して、検出限界まで殺菌したということです。

 

 深紫外線の人体への影響を心配される方も、居られると思います。

 

 深紫外線は、紫外線の一種ですから、人体に長時間当てていると、赤く日焼けするなど、強い直射日光と同様の影響があります。

 

 ただし、深紫外線は、通常のガラスや透明のプラスチックでも遮蔽可能です(透過しません)ので、眼鏡や手袋や長袖の服を身に着けることによって、人体への影響は最小限にできます。

 

 今後の実用化に向けたスケジュールですが、現在、NICTにおいて、「深紫外線LEDの一括大量製作に必要な装置」の調達手続きを進めており、年内にはLEDの一括大量製作の試験を開始する予定です。

 

 NICTの技術開発と実証試験の成果を活かして、来年には、民間企業における様々な製品化が実現することを目指しています。

 

 実用化しますと、オフィス空間、医療現場、空調機器、衣類、交通機関の座席、ドアノブ、手すりなど、あらゆる環境を安全で効率的に殺菌することが可能です。

 

 新型コロナウイルスだけではなく殆どの病原体を死滅させることが可能だとされていますので、「携帯型高強度深紫外LEDを用いた殺菌用光照射機材の創出」という日本発の技術イノベーションにより、我が国だけでなく、世界における衛生環境の向上にも、大きく貢献できると期待しています。

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