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犯罪被害者を温かく応援して下さい。

更新日:

 11月25日から12月1日までが「犯罪被害者週間」でした。
 
 犯罪被害者週間にあわせて、1人でも多くの国民の皆様に、被害者が置かれている状況をご理解いただき、地域社会での配慮や協力をいただく為の啓発活動が展開されました。
 今年は、11月27日に東京で内閣府主催の中央大会を開催し、その後、秋田県、神奈川県、大阪府にて、各府県と内閣府共催の地方大会を開きました。

 担当大臣としては、全ての会場に出かけて、ご参加下さった方々に犯罪被害者対策へのご協力依頼をしたかったのですが、参議院で教育基本法改正案の審議が続いている為、答弁席を離れることが許されず、最終日の12月1日に大阪大会に短時間参加できただけだったのが心残りでした。

 「犯罪被害者」という立場は、決して他人事ではありません。明日、私自身が犯罪被害者になってしまう可能性も否定できません。
 
 朝、元気に出かけていった夫が、無謀運転をする車にはねられて、帰ってこなかったら・・。
 手塩にかけて育てた娘が、レイプされた上に殺害されたとしたら・・。
 息子が学校で集団リンチを受けて、何とか命は取り留めたものの、重篤な障害が残ってしまったとしたら・・。
 放火犯によって、一生かけて築いてきた自宅や思い出を全て失ってしまったとしたら・・。
 
 特に、ご家族の命が失われるような事態が突然我が身に降りかかった場合、ご遺族は、深い悲しみのどん底に突き落とされ、泣いて泣いて、時には自分を責めながら苦しみ、その後、長い時間をかけて自分の生活を取り戻す努力をされるのでしょう。
 
 ところが、絶望の淵におられる被害者に対する配慮に欠けた対応によって、「新たな精神的被害」や「再被害への不安」など2次的被害が発生するケースが多く見受けられました。
 例えば、周囲の好奇の目、誤解による中傷、心無い嫌がらせ電話や手紙、行き過ぎた取材、誤った報道による名誉毀損、配慮に欠けた捜査活動、裁判からの疎外などです。
 また、医療費や介護費用や弁護士費用の負担も、大きな課題でした。

 全国犯罪被害者の会をはじめ多くの方々の声が政府、政党などに届けられ、2004年12月1日に「犯罪被害者等基本法」が成立、2005年4月に施行されました。
 政府は、基本法施行を受けて、犯罪被害者等のために取り組むべき258の施策をまとめた「犯罪被害者等基本計画」を作成し、2005年12月に閣議決定しました。
 基本計画は、①損害回復・経済的支援、②精神的・身体的被害の回復・防止、③刑事手続きへの関与拡充、④支援体制整備、⑤国民の理解増進と配慮・協力確保を重点課題としており、この5本柱に従って、現在、法制度改正や運用改善も含めた取組みが進行中です。
 
 皆様の周辺で、不幸にして犯罪被害者となってしまわれたご家族がいらっしゃいましたら、温かくお支えいただきますとともに、被害者の方々が受けられる公的支援もありますので、少し落ち着かれた頃に、相談窓口に連絡を取られることを勧めて差し上げてくださいね。

 例えば、犯罪被害者給付金(遺族給付金・重傷病給付金・障害給付金)については、居住地の警察署で申請できますが、申請期限があります(犯罪被害発生日から7年。被害を知った時から2年)。
 今年7月には、全国の警察に対して、性犯罪相談専用電話等を活用した適切な相談受理などが指示されました。
 また、都道府県庁(生活安全課・県民生活室等)に連絡されますと、被害者の心理ケアやDV民間シェルターへの紹介なども受けられます。
 各地の弁護士会でも、犯罪被害者弁護ライン等を設けて下さっています。

 明日は自分が当事者になるかもしれない「犯罪被害者」について、お互いに学び合い、支え合ってまいりましょう。
 私も、政府が約束した法改正等の取組みが確実に実行されるよう、関係省を督励してまいります。

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