早苗コラム

8期目の永田町から 平成29年11月~

2018年07月02日

『第5次エネルギー基本計画』に加筆を要請した事項

 いよいよ明日(7月3日)には、『第5次エネルギー基本計画』が閣議決定される見込みだと聞いています。

 

 自民党では、『第5次エネルギー基本計画(案)』については、去る6月26日(火)に党議決定を終えています。

 

 政府が閣議決定する各種計画や法律案は、事前に与党内で時間をかけて審査を行い(自民党の部会・調査会⇒政審⇒総務会+自公両党の政調会長等による与党政策責任者会議)、各審査の段階で必要に応じて加筆・修正がなされ、与党議員全員が賛同できる内容と認められた後に、閣議にかけられます。

 この与党事前審査の手続きには、政府・与党が一体となって、国民の皆様に対して責任を負い、政策を推進する意味合いがあります。

 

 『エネルギー基本計画』は、2002年の「エネルギー政策基本法」によって定められた計画で、数年ごと(概ね3年~4年)に改訂されます。

 

 現行の『第4次エネルギー基本計画』は、2014年4月11日に閣議決定されたものですが、当時は自民党政調会長として、夜を徹してペン入れを行い、多く項目について修文をさせていただきました。

 

 今回の『第5次エネルギー基本計画』については、5月上旬から経済産業省・資源エネルギー庁が作成した原案を読み込み、自民党の資源・エネルギー戦略調査会を通じて、2項目について加筆を要請しました。

 

 第1に、「サイバーセキュリティ対策」です。

 

 原案には、「サイバーセキュリティ対策」に関する記述が皆無でした。しかし、近年は、電力事業者に対するサイバー攻撃が相次いでいます。

 

 ウクライナでは、2015年と2016年に、変電所へのサイバー攻撃により、数万世帯が停電。2017年には、データ破壊の被害が発生しました。

 

 サイバーセキュリティ先進国とされるイスラエルでも、2016年に電力公社が大規模なサイバー攻撃を受け、コンピュータ多数が使用不能になりました。

 

 特に昨年(2017年)は、欧州、ロシア、米国などで、ランサムウェア感染の報告が多数あり、チェルノブイリの「放射線レベル測定システム」にも影響が出ました。

 

 最近は、日本でも普及し始めたスマートメーターについても、過去にプエルトリコで「電力消費記録設定」が改竄されたことがありました。

 

 私が自民党の資源・エネルギー戦略調査会に提出した加筆文案は次の通りです。

 

 「技術革新と併せ、エネルギー分野においても、とりわけ電力分野を中心にサイバー攻撃の脅威が高まっている。大規模なサイバー攻撃発生時にも事業継続が可能であることは、国民生活や経済社会の安定に不可欠であり、日本の立地競争力の強化にもつながる。また、高度なサイバーセキュリティは、エネルギー分野に係るインフラシステム輸出についても、激しい国際競争に勝ち抜く力となる。サイバーセキュリティ対策の強化は我が国の持続的成長に資するものである。このため、電力分野におけるサイバーセキュリティの強化を図るべく、情報共有・分析を中心とした業界内での取組の強化や官民での先進国との連携強化など、更なる対策に取り組む。」

 

 私の文案の全てを、しっかりと盛り込んでいただけました。

 

 第2に、「太陽光パネルの適正な廃棄・処理」です。

 

 これは、太陽光発電が普及し始めた頃から私が強い問題意識を持っていた件です。

 「太陽光発電の普及を促進する為にも、適正な廃棄処分とリサイクルのルール作りが必要だ」と考え、過去には衆議院経済産業委員会で質疑を行いましたが、政府からは積極的な対応を行う旨の答弁は引き出せませんでした。

 

 そこで、総務大臣在任中に、総務省行政評価局で実態調査を行いました。

 

 太陽光パネルの耐用年数は20年から30年とされていますので、将来には大量廃棄が発生します。現在でも、地震や台風によって損壊した太陽光パネルの廃棄は行われています。

 太陽光パネルには、「鉛」「セレン」などの有害物質を含む製品がありますから、適切に処分しないと「土壌汚染」が発生します。

 災害で損壊した場合にも、日光が当たる限り太陽光パネルは発電を続けますので、パネル面を表に向けたまま放置してはなりません。接触すると「感電の危険」があります。

 総務省行政評価局による調査の結果、感電や有害物質の危険性を十分に認識しておらず、住民への注意喚起も未実施の自治体がありました。有害物質の含有リスクを認識せずに破砕し、遮水設備の無い処分場に埋め立てていたケースも報告されました。

 産廃処理事業者が有害物質の含有状況を確認しようとパネルメーカーに照会したのに、メーカーが情報開示を拒否したという悪質なケースもありました。

 

 この実態調査の結果を受けて、総務省は各省と協議を進め、昨秋(私の退任直後)には総務大臣から経済産業大臣と環境大臣に対して勧告を行っていただいたと聞いていたのですが、『第5次エネルギー基本計画』の原案には、記述が皆無でした。

 

 これも、自民党の資源・エネルギー戦略調査会に文案を提出した結果、「将来大量に発生する太陽光パネルの廃棄問題について、法制度の整備も含めた検討を行い、使用済みパネルの適正な廃棄・処理が確実に実施されるように対応するとともに、小規模な事業用太陽光発電の適切なメンテナンスを確保し、再投資を促す。」という文章が追加されました。

 

 天災やサイバー攻撃などによってエネルギー供給が途絶すると、国民生活や産業に多大な影響が及び、医療機関や寒冷地などでは人命に係わる事態も発生してしまいます。

 これからも、多様なエネルギー源の構成、資源確保、安全対策、技術革新など、様々な取組を進めていかなければなりません。


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