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「結果」を出す年

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 安倍内閣の発足から約3ヶ月半が過ぎました。
 郵政造反議員復党の折に急落した支持率は依然回復していませんが、安倍総理や閣僚たちが派手なパフォーマンスやサプライズに走る必要はないと思っています。
 安倍内閣が国民の皆様にお約束した政策を、地道に1つずつ丁寧に仕上げていくことが、何より重要だと考えます。

 私自身も、9月26日の閣僚就任以来、何度も安倍総理の総裁選挙公約や演説原稿を読み返し、「自分の所掌範囲の中で具体化できる政策は何であるか」を考え続けてきました。
 昨年中は、平日の殆どの時間は国会の委員会室で答弁席に座っていましたので、内閣府内で職員と打ち合わせをする時間も限定されましたが、それでも国会対応の合間を縫って、幾つかの政策についての「種まき」をすることができました。

 今年は、いよいよ種まきをした政策を具体的な形に練り上げ、少しずつ「結果」を出していく年になります。
 以下、私の担当大臣職名別に、今年中に結果を出そうと考えている目標を書いてみました(担当大臣職名は17、担当政策は19ですが、ここには新規政策の準備をしているもののみを記載しました)。


【科学技術政策担当大臣として】

 昨年3月に閣議決定された「第3期科学技術基本計画」(今後5年間の我が国の科学技術政策のマスタープラン)では、「5年間で約25兆円の政府研究開発投資規模の実現」を目指しています。
 各省庁が要求した平成19年度科学技術予算については、総合科学技術会議有識者議員と私で優先順位付けを行いました。18年度予算に較べると「大胆なメリハリのついた予算配分」となっていることが特徴です。
 20年度以降の予算編成に向けて、優先順位付け手法の検証と改善が不断に行われるように工夫したいと思っています。
 また、原子力安全担当者としては、IAEA、FNCAなどの国際的枠組の場を通じ、平和利用の促進、核不拡散の取り組み強化等の国際協力を推進します。


【イノベーション担当大臣として】

 2025年に日本が実現しているべき技術革新や社会制度刷新に向けた長期戦略分野別ロードマップとなる「イノベーション’25」作成作業の最中です。
 昨年は、就任9日目に内閣府に「イノベーション’25特命室」を設置、さらに民間有識者をメンバーとする「イノベーション’25戦略会議」を立ち上げました。また、日本学術会議の約2200名の学者にも協力を呼びかけると同時に、広く国民の皆様のお知恵を集める方針を職員に指示し、内閣府HPにご意見募集欄を開設(昨年12月31日に締め切らせて頂きました)しました。ここに寄せられた様々なアイデアは戦略会議に報告させていただきました。
 今年6月には「イノベーション’25」が完成します。その後は、平成20年度以降の予算や税制、法制度改革に反映させるとともに、数年に一度はイノベーション長期ロードマップの検証と修正ができる仕組み作りに取り組みたいと思っています。


【IT担当大臣として】

 昨年1月に策定された「IT新改革戦略」(今後4年間のIT国家戦略)の推進状況のチェックと改善方法の検討を行っています。
 安心してITを使っていただくために「情報セキュリティ対策」の強化を急ぐことを指示し、その上で、行政サービスや医療など国民に身近な分野での「IT利活用」を一層推進することを目指しています。
 医療分野では、電子レセプト化を急ぐことで保険事務のコスト削減と効率化を目指すとともに、国民が生涯に渡って自分の健康情報を保持できる仕組みを追及しています。
 年金など社会保険分野でも、国民が自らの保険料納付額と給付予定額を随時チェックできる仕組みの構築が可能ではないかと考えています。
 また、仕事と育児を両立するためにテレワーク(パソコンを使って在宅勤務することなど)普及の為の技術的問題をクリアしたいと考えています。


【少子化対策担当大臣として】

 昨年6月に小泉内閣で決定した「新しい少子化対策」には、既に40項目もの少子化対策が記載されており、12月の予算編成でも重点的な予算措置がなされました。
 私は、「これ以上、税金を使う新規施策を追加するよりも、既に決定されている施策について、国民が使いやすいように運用改善をすること」を重視しています。
 就任翌月の10月から、内閣府ホームページで、「既存政策の使い勝手」について、国民からのご意見募集を開始しました。
 今年は、国民の皆様からお寄せいただいたご意見を参考にしながら、厚生労働省等関係機関と協議をして、既存施策の運用改善方法の検討に取りかかる予定です。
 また、限られた財源の中で行う少子化対策の「重点化」も必要と考えていますので、早速、既存政策の効果等も含めて検討に入ります。


【男女共同参画担当大臣として】

 昨年末に、女性の再就職・起業等を総合的に支援する「女性の再チャレンジ支援プラン」を改定し、支援対象毎のきめ細かい再就職支援等、施策強化を図りました。
 私は、「真の男女平等は、女性に下駄を履かせて無理に『結果平等』を作ることでは実現しない。男性から逆差別批判を受けるような政策では長続きしないし、女性も『女性だから優遇されている』と色眼鏡で見られることで誇りを持って働けなくなる。性別に関わらず、能力や努力に応じて正当な評価が受けられる『機会平等が保障された社会』の実現を目指したい」と考えています。 
 今年は、「男性も女性も働きやすく能力を発揮できる企業」が世の中で高い評価を得て、良い人材を確保できるような仕掛けを考えていきたいと思っています。


【青少年育成担当大臣として】

 私は、「違法・有害情報から青少年を守ること」に、最も強い関心を持っています。
 昨年11月には、「青少年が用いる携帯電話に、原則フィルタリングをかけることを実現したい」と思い、総務大臣に依頼して、携帯電話事業者3社に対してフィルタリングサービス普及への取り組みを頼んでいただきました。事業者側では、親権者の意思確認を確実に行う等の取り組みを強化して頂くこととなりました。
 性犯罪や殺人、自殺を誘発するサイトや映像ソフトなどについての対策も検討したいと思っていますが、憲法が保障する「表現・出版の自由」を制限することは不可能だとの声もあり、道のりは険しいものとなりそうです。
 
 また、「1人でも多くの若者が自分に合った定職に就き、広く薄く税金や社会保険料を負担していただくことが、福祉を後退させずに安心な高齢化社会を築くことになり、日本経済の活性化にも繋がる。若者が定職を得て、経済的に安定し、独立することが少子化対策にもなる」との思いから、キャリア教育・職業教育の充実を目指すこととしました。
 昨年12月に、総理のお許しを得て「キャリア教育等推進会議」を発足させました。文部科学大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣にメンバーになっていただき、若年層の勤労観・職業観及び職業に関する知識・技能の育成等を図るための施策の検討を始めました。
 今年6月までに報告書を取りまとめ、順次、実行していきます。


【沖縄及び北方対策担当大臣として】

 沖縄政策については、「自立型経済の構築」が目標です。今年は特に、質の高い観光・リゾート地の形成や、アジア最先端の情報通信産業拠点の構築、世界最高水準の科学技術大学院大学構想の推進等が課題です。
 1月12日にシンガポール国立大学の学長を訪ね、沖縄科学技術大学院大学との連携を要請します。

 北方領土については、「多くの国民が領土問題について関心を持つ為には、学校教育過程で正しい知識を得ることが重要だ」と考えており、昨年12月に、小中学校の教師から北方領土教育の現状をヒアリングしました。
 今年は、教育基本法改正を受けて学習指導要領の見直し作業が予定されていることから、伊吹文部科学大臣に対して、領土問題に関する学習指導要領の書きぶり変更、教材開発、教員研修の充実などの提案を行う予定です。


【食育担当大臣として】

 昨年中は、政府初の「食育白書」の発行、食育について先進的な取り組みを行う学校現場視察を行いました。
 今年は、食育の普及を目指して、学習指導要領への明記、教員研修、教材開発、栄養教諭の配置促進などについて、伊吹文部科学大臣に提言する予定です。


【国民生活政策担当大臣として】

 全国各地の消費者センターに寄せられた消費者からのご相談は、「国民生活センター」に集まってくるのですが、十分に効果的な活用ができていない状況でした。
 国民生活センターが入手した死亡・重篤事故情報を、より迅速に関係省庁に提供し、各省庁が事故の再発を防ぐための対応を行えるよう、3月末までに改善策をまとめます。


【自殺対策担当大臣として】

 「自殺対策基本法」に基づく「自殺総合対策大綱」を、今年6月までに策定します。
 この作業の為に、昨年11月20日に「自殺総合対策の在り方検討会」設置を決め、医療関係、学校関係等の専門家13名の委員に協力を求めました。
 大綱策定後は、関係省庁等が連携して、自殺の予防や自殺者のご遺族等への支援を推進していくことになります。


【犯罪被害者等施策担当大臣として】

 昨年は、国民の皆様が犯罪被害について考える機会として「『犯罪被害者週間』国民のつどい」を主催。また、初めての国会報告となる「犯罪被害者白書」も取りまとめました。
 本年は、犯罪被害者を支援する為に各省庁が行う258の施策について、検証・評価・監視を行いつつ、地方公共団体における施策の総合的な推進を支援します。


【高齢社会対策担当大臣として】

 私は、「介護疲れ等による高齢者夫婦の無理心中などの悲劇を、これ以上増やしてはいけない」と考えています。
 昨年中に、内閣府職員に対して問題点の把握と対策の検討を指示しました。今年は、地域で極度の困窮状態にある高齢者世帯をより確実に救済できる方策を検討したいと思っています。


【障害者施策担当大臣として】

 昨年は、平成18年度「障害者週間の集い」を主催し、障害のある方に対する国民の理解と関心を深め、障害者の社会参加への意識を高めるよう、各省庁を始め企業や民間団体の協力を得て、啓発・広報活動の推進を図りました。
 今年は「障害者基本計画」の前期「重点施策実施5か年計画」が最終年度を迎えることから、「後期5か年計画」の検討に着手します。
 また、障害者権利条約案の国連総会正式採択を受け、同条約の締結に向けた国内での検討を推進します。


 まだまだ多くの政策課題と対策が頭の中にあるのですが、まずは、昨年中に種まきをしたものを最優先に「結果」を出すべく、頑張ってまいります。

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